あの春、君と出逢ったこと
『……え⁉︎』
2人を置いて歩いていく煌君の歩く速さについて行きながら、驚きの声の声を上げる。
『良いんだよ、別に』
そんな私の声に反応し、楽しそうな声色で煌君が返す。
それでも、2人を置いていったのに罪悪感を感じ、後ろを振り返る。
『でも、2人、置いていっていいの??』
『ああ、別に、構わねぇよ。
どうせ時間ギリギリには来る筈だしな』
私の言葉に軽くそう返しながらも、煌君はどんどん先へと進んでいく。
『それと、煌君、手……っ‼︎』
それとは別にもう1つ。
驚いている理由でもある、繋がれている手に視線を向けて、煌君に抗議する。
その私の抗議の声に、ピタッと、煌君が立ち止まった。
『ご、ごめん!』
そう言って慌てて手を離す煌君は、繋がれていた手の甲で、自分の口元を隠す。
『煌君、もしかして、照れてる?』
そんな煌君の行動を見て、そう聞いてみると、わかりやすく肩を揺らす煌君。
……ヤッパリ、翠とは双子だね。
図星の時の癖が同じを発見し、口元に笑みが浮かぶ。
『……悪いかよ』
そう言って拗ねる煌君を見て、さっきの翠を思い出し、思わず笑いだす。
『栞莉⁇』
いきなり笑い出した私を怪訝そうに見る煌君を見て、笑を止めようと落ち着いて深呼吸をする。
『翠とそっくりだね、煌君』
まだ抑えきれていない笑とともにそう煌君に伝えると、眉間に皺を寄せて、不機嫌になる煌君。
『不機嫌になって拗ねる所も同じだね?』
さらにそう言って笑うと、煌君はますます不機嫌になっていく。
『……栞莉のクセに、生意気』
『ふぁにふにゅの!』