あの春、君と出逢ったこと
『チョコ⁇』
いきなりそう言った翠を見ると、クスッと笑った翠が、黒板を指す。
翠の指した方向に視線を向けると、黒板には2月13日と書いてあった。
……ん? 2月13日でチョコって事は。
私が気づいたことを察したのか、翠が正解と言ってまた笑みを浮かべる。
『煌に、渡せば良いじゃない。
何も言わなくて良い。
それなら、大丈夫でしょう?』
翠の提案に、少し考える。
確かに、チョコなら友チョコとして渡せる、けど。
バレる可能性だってあるってことで。
……でも。
渡すくらいなら、良いかな⁇
バチ、当たらないよね?
『そうと決まれば、私の家で作りましょう?』
何も言っていないのにそう言った翠に驚いて、目を見開く。
『そういう顔、してたわよ?』
驚いている理由すらもお見通しの翠を見て、苦笑いを浮かべる。
『……翠には、一生敵わないかも』
『私に敵うわけないでしょう。
似てなかったか? 翠の真似』