あの春、君と出逢ったこと




私の言葉に翠の前をして、裏声でそう言った快斗君の頭を翠が殴る。


『気持ち悪いわ』



それを見ていた私は、どうしても快斗君の声が頭から離れずにずっとリピートし続けて、思わず肩を震わす。


『栞莉⁇』


そんな私をギロッと睨みつけた翠から、慌てて視線をそらすも、どうしても肩が震えてしまう。



『……全く』


そう言って呆れたように笑った翠は、私と明日チョコを作る約束をしてから席に戻っていった。


『煌君』



授業ギリギリで戻ってきた煌君に声をかけて、私を見た煌君に向かって紙を投げる。


その紙を見て、何かを書き込んだ煌君から返ってきた紙を見て、笑みを浮かべながら窓の外に視線を移した。








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