あの春、君と出逢ったこと
例によって助けてくれたお隣さん……煌君に、先生にばれないように紙を回す。
隣で、回ってきた紙を開く音がしたかと思うと、ちらっと盗み見た煌君は、口元に笑みを浮かべていた。
そしてそのまま何かを書いた煌君は、先生が黒板と向き合っているタイミングで、私に手紙を回してくる。
……いつ振りだったっけな。
こうやって授業中に、手紙を回すのは。
何が書いてあるのか気になって、ゆっくりと開けてみる。
『……やっぱ、ムカつく奴』
私が書いた言葉…〔ありがとう〕
に、煌君は〔流石、馬鹿は馬鹿だな〕
何て答えを書いて回してきていた。
……これ、文句だよね?
私、ありがとうって言っただけなんだけどっ⁉︎
思わず立ち上がりそうになるのを抑え隣に視線を向けると、そんな私を見て笑っている煌君が目に入る。
〜〜っ⁉︎
絶対嵌められた。
その後は、煌君のお陰で眠気が吹っ飛び、隣と黒板を交互に睨みながら授業をこなしていくことができた。
授業が終わり、翠と快斗君が同時に私の席に向かってきたかと思うと、目をキラキラさせて身を乗り出してくる。
『あの紙を見せなさい?』
『俺も、すげー気になる!』
二人共、私に右手を差し出してニヤニヤと笑みを浮かべる。
……手紙?
手紙って、なに。
私、翠と快斗君に手紙なんて書いた?
『手紙よ、手紙。
さっきの授業中、煌と何か話してたでしょう⁇』
……何で1番前の席にいる翠が1番後ろの私たちを見れてるの!?!?
『俺も見た。
煌が遂に女と手紙を回す時が来るとはな〜っ』
隣の席で私達の話を聞いていた煌君をぐっと引き寄せ、煌君に向かってニッと笑う快斗君。