あの春、君と出逢ったこと
ニッコリと笑いながら翠にそう言うと、不意打ちだったのか一瞬固まった翠の顔が、どんどん赤く染まっていく。
『栞莉……いつから気づいてっ……⁉︎』
『いつって言われても……いつからだろ?』
慌てて私を引っ張り、小声でそういってくる翠にそんな曖昧な返事をする。
『私、わかりやすいかしら?』
自分の顔をペタペタと触りながら、少し青ざめた顔でそう言う翠に、安心させるように笑う。
『絶対……100%よく見ないとわからないよ』
いつも一緒にいる私だから分かったことだと思うしね?
翠、そんな感じの表情には変わらないから。
いつも冷たい態度だし。
『……良かったわ』
私の言葉に、心の底から安心したような声を出して溜息をついた翠を、ニヤッと笑いながら見つめる。
『何よ?』
『何でも〜。
ただ、乙女だなーって、ね?』
そういって笑った私の頭をバシッと叩いた翠が、私の耳元で何かを呟く。
『ん?』
小さすぎて聞こえなかった翠の声を聞くため、翠にもう一度と催促する。
そんな私を見てニヤリと笑った翠は、私に近づいて、耳元に近づく。
『栞莉も、煌と楽しくやりなさいよ』
そういって離れていった翠を見て、首をかしげながら固まる。
私が煌君と楽しむ?
普通に、煌君と話すのは楽しいけど、この流れじゃ、私が煌君の事を好きみたいな感じになってるよね?
『……私、煌君好きじゃないよ?』
私の言葉に驚いたように目を見開いた翠に、やっぱり勘違いしていたことを知る。
『あ、もちろん。友達としては好きだけどね』
そんな翠を見て、慌てて付け加えると、翠がイキナリ両肩をガシッと掴んで、前後に私を揺さぶる。
『う・そ・で・し・ょ・う・?』
一言ずつ、口パクで区切りながら言う翠に、首を横に振り続ける。
本当に勘違いなんだもん、翠の。
この調子だったら、快斗君も勘違いしてるってことになるよね?