あの春、君と出逢ったこと




『……お前、ムカつく』



イキナリ立ち止まった煌君が、右手で私の頬を挟んで顔を上に向ける。




『ふぁふぃ?』



無理やり合わせられた視線に顔に熱が集まるのを感じながらも、平成を装って頑張って口を動かしてみる。



……やっぱ、動かしづらい!




『ほぉふぅんのふぉひゃみゅ』



『なんて言ってるか分からねえよ』




無理やり動かして言葉を発する私を見て、そう言いながら声をあげて煌君が笑った。




イヤイヤイヤ。


笑われても困るから!


早く手を離せ!




未だに笑っている煌君に、そんな視線をビシビシ送るも、煌君は全く気付いてくれない。



いつまで笑ってるの、煌君は!



『本当、飽きない奴』




フッと笑みを浮かべ、やっと私の頬から手を離した煌君の足のすねを、右足で思いっきり蹴りあげる。



流石に効いたのか、蹲りながら足を押さえ私な抗議の視線を投げかけてくる煌君に向かって、上から見下ろして鼻で笑う。




『やられっぱなしじゃないんだからね』




ビシッと人差し指を煌君に向かって突き出し、自分の中のドヤ顔を浮かべる。


……多分、ドヤ顔になっていると思う。


いや、自分では浮かべてるつもりなんだけどね?

この前、翠に下手くそって言われたし……。





『……お前、それ、ドヤ顔のつもりか?』




私を見て驚いたような、笑いをこらえているような顔を浮かべる煌君に、やっぱり失敗だったと悟る。



なんでドヤ顔したんだろ、30秒前の私!



心の中で過去の私を批判しながら、未だ座っている煌君に右手を差し出す。


『ほら、手』



イキナリ手を出した私に困惑したのか、辺りをキョロキョロする煌君に、押さえていた声をあげて笑ってしまう。



『じゃなくて!

ほら、手、貸して?』




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