あの春、君と出逢ったこと
仕方ないじゃん。
やって見たかったんだもん。
『……はいはい』
わかりやすく機嫌を損ねた私を見て、ため息をつきながらも返事をする煌君。
まぁ、ドーナツも食べれるし、良いか!
ドーナツさえ食べられるなら全然気にしない。
そんな私の単純思考を読み取ったのか、こう君が背を向けて肩を震わしていた。
『煌君、置いていくよ?』
目の前にドーナツ屋があるのに、立ち止まっているのは時間が待ったいない。
ドーナツ屋を指して、急げ急げと催促する私を見て、煌君が歩くスピードを速める。
『速い! 速すぎ!』
煌君についていくため、小走りで追いかける私を見た煌君は、段々とスピードを上げていく。
最終的に猛ダッシュでドーナツ屋の前に着き、肩で息をしている私に比べ、澄ました顔で店の中に入る煌君。
……本当、足の長さの違いほどいらないものはないよね?
神様不公平だよ。
出来ることなら、もう少しだけ身長を伸ばして欲しいです。
『何ボーッとしてんの』
店に入らず立ち止まっていた私を、店の中からもう一度出てきた煌君が不思議そうに見つめる。
『あ、いや。考え事』
そんな煌君に笑って返し、私も慌てて店の中に入る。
だって、絶対今考えていた事を煌君に言ったら、馬鹿にされるに決まってるしね。
苦笑いしながら店の中に入った私を、店中のドーナツの香りが包む。
……何、ここ。
『……凄い良い匂い‼︎』
いろんな種類のドーナツが並んでいところまで駆け寄ると、見たことない種類のドーナツが沢山並んでいた。