あの春、君と出逢ったこと
『んーん。
何でも!
私も食べて良い?』
箱の中に入っていたドーナツを指して煌君に聞くと、声は出さずに頷いた煌君。
頷いた煌君が新しいドーナツに手を伸ばしたのを見て、私もドーナツに手を伸ばす。
『いただきまーす』
沢山あるあるドーナツの中から私が選んだのは、チョコ生地のドーナツにイチゴチョコレートでコーティングされているやつで。
数あるドーナツの中で、私の1番好きな種類。
甘酸っぱいイチゴチョコレートが何とも言えないくらい美味しくて、2つくらいなら、ペロリと食べちゃうんだよね……。
『それ、好きなの?』
私が手に持ったドーナツを指して、新しいドーナツを頬張りながら煌君が首を傾げる。
『うん。
1番好きなヤツかなー……』
煌君の言葉に答えながらドーナツを頬張る。
それと同時に口の中に広がる甘さに、思わず頬が緩んだ。
……やっぱ、甘いのは幸せになる!!
『てゆか、煌君。
そのドーナツ何個目なの⁇』
そう考えていた私をよそに、黙々とドーナツを食べ続ける煌君の方を見て、苦笑いしながら聞いてみる。
そんな私の質問に、思い出しているのか指を折り曲げながら数える煌君を見つめる。
『……4?』
4。と右手で数字を作って私にそういった煌君に、思わず食べていたドーナツでむせてしまう。
『馬鹿か、お前』
そんな私を怪訝そうに見ながら言ってきた煌君に慌てて口を開く。
『煌君、甘いのとか苦手そうなんだもん。
なんか意外で……』
そう言った私に、バツが悪そうに頭の後ろを書いて私から目をそらした煌君。
そんな煌君を見て、口元に笑みが浮かんだ。
『煌君、見た目によらず甘党なんだね!』