妻に、母に、そして家族になる
数日後。

ハルくんにお留守番を任せ、私は信濃さんとハルくんのクリスマスプレゼントを買いに来ていた。

あちこちの店では煌びやかなイルミネーションが飾られていて、クリスマスムードが漂う美しい光景だが、道を歩く人々はその光景に目もくれない。

師走と呼ばれる月だけあって、クリスマスや年末年始の準備などで人々は忙しい時期なのだろう。

私は冷たい風を全身に浴びながらも外を歩く忙しい人達に、少しの罪悪感を抱きながら、暖房が効いた暖かい車内でさっき買ったカフェオレを啜っていた。

帰り道の途中、運転する信濃さんにハルくんのクリスマスプレゼントはいらないと答えた時の話しをした。

「そっか。ハルがそんなこと言ってたのか。家では疲れた顔しないように気を付けてたんだけどな」

「ハルくんは聡い所がありますからね。人の顔色とか雰囲気とかで隠していても敏感に感じ取ってしまうんですよ」
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