妻に、母に、そして家族になる
「気に入ってくれてよかった。荷解きするなら手伝おうか？」

「いいえ、一人で大丈夫です。荷物も少ないですから」

「じゃあ、リビングにいるから手伝いが欲しい時は言って」

「はい」

「ほら、ハルはこっちでテレビでも見てな」

「え～」

信濃さんとハルくんが部屋を出て行った後、荷物を取り出す。

荷物が少なかったおかげで荷解きはすぐに終わった。

部屋にいても何もすることがないのでリビングに行くと、信濃さんはソファで新聞を読んでいて、ハルくんはテレビを見ていた。

これがこの家での二人の様子なんだな、と思いながらその光景を眺めていると不意に彼と目が合った。

そしたら何となく覗き見をしていた気分になってしまって、スススーと静かに部屋に戻ろうとしたら、「終わったならこっちにおいでよ」と声を掛けられる。

大人しくソファに近づき、「お邪魔します」と言って小さくなりながら彼の隣に座った。
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