妻に、母に、そして家族になる
周りから集まっていた視線が無くなると、佳奈は呆れた様な安堵した様な溜息を吐いた。

「本当なの?バツイチの男と二人で暮らしてるなんて……」

「正確にはその人の息子もいるから三人暮らし」

「本っ当、何考えてんのよ。男と暮らしてるばかりじゃなく、子供もいる相手なんて。このことアンタの両親は知ってるわけ」

「知るわけないじゃない。話したら絶対に乗り込んでくるよ。そしたら間違いなく実家に連れ戻される」

「ははは。文香のパパさんはアンタを溺愛してるもんね~。男と同棲してるなんて知ったら、ショックで寝込んじゃうかも」

「そんな大げさな」

「いーや、絶対そうよ」

そう言って、佳奈はクイッと赤色のカクテル飲んだ。

酔いが回り始めているのか、ショートの髪から覗く頬の色がカクテルの色に染まってきている。

お酒には強いらしいけど、そろそろストップさせた方が良いかもしれない。

酔っ払いとなりつつある幼馴染の様子を気にしながら、私も『シンデレラ』という名前のノンアルコールのカクテルを飲む。

パイナップルの香りが印象的な、すっきりとした味わいで、お酒が飲めない私でも気軽に飲むことができた。
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