クールな御曹司と溺愛マリアージュ
というか、みんなどうしてこんなに落ち着いてるの?
正直まだ頭の中が混乱していて、自分になにが出来るのかずっと考えてるのになにも浮かばなくて……。
私が、私のせいなのに……。
「柚原」
私の頭の上に、佐伯さんの大きな手が乗せられた。
「そんな顔をするな」
佐伯さん……。
だって、他にもコンペに参加する会社は沢山いるのにその中で似たようなデザインが並んでしまったら、絶対に駄目だってことくらい私にも分かる。
しかも同じ系列の会社なのに。
佐伯さん達のデザインがどんなに良くても、河地さんのデザインがある限り印象は悪くなるに決まってる。
だから私は、河地さんにデザインを変更するように説得して、それでも駄目なら部長に全てを話して……。
「あのな、柚原」
私の肩に手を置いた佐伯さんを見上げる。
「人のデザイン案を盗むような奴にも描けるデザインじゃ、最初から駄目だったんだ」
「えっ?」
「つまり、この前考えた物よりも、もっと良いデザインでなければコンペに勝つことは出来ない。だからお前が謝ることじゃないし、寧ろそれに気づかせてくれたことに感謝したいくらいだ」
「そんな、だって……締切まで時間もあまりないのに」
「柚原は、俺達には出来ないと思うか?」
佐伯さんの瞳が、まっすぐ私を捉えている。
ふと拓海さんと成瀬君に視線を移すと、二人は私を見て微笑んでくれた。
「私は、三人なら……絶対にコンペに勝てるって、自信を持って言えます」
もっともっと素晴らしいデザインを仕上げて、満足げに微笑む佐伯さんの顔が……目に浮かぶから。
「それでいい」
そう言って佐伯さんは、私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「でも、河地さんのことは?」
「放っておけ。確かな証拠があるわけでもないし、人のアイデアで良い物を作ろうとしても限界があるということを、あいつに教えてやるいい機会だ」
さっきまでは不安で心臓がバクバクと震えていたはずなのに、佐伯さんのその言葉を聞いた瞬間、私の胸が期待に満ちていくのを感じていた。
アイデアを盗まれたというのにそんな風に言える佐伯さんは、上司としても社長としても男としても、とても素敵な人だ。
この人の元で働けて、本当に幸せだと……心から思えた。
正直まだ頭の中が混乱していて、自分になにが出来るのかずっと考えてるのになにも浮かばなくて……。
私が、私のせいなのに……。
「柚原」
私の頭の上に、佐伯さんの大きな手が乗せられた。
「そんな顔をするな」
佐伯さん……。
だって、他にもコンペに参加する会社は沢山いるのにその中で似たようなデザインが並んでしまったら、絶対に駄目だってことくらい私にも分かる。
しかも同じ系列の会社なのに。
佐伯さん達のデザインがどんなに良くても、河地さんのデザインがある限り印象は悪くなるに決まってる。
だから私は、河地さんにデザインを変更するように説得して、それでも駄目なら部長に全てを話して……。
「あのな、柚原」
私の肩に手を置いた佐伯さんを見上げる。
「人のデザイン案を盗むような奴にも描けるデザインじゃ、最初から駄目だったんだ」
「えっ?」
「つまり、この前考えた物よりも、もっと良いデザインでなければコンペに勝つことは出来ない。だからお前が謝ることじゃないし、寧ろそれに気づかせてくれたことに感謝したいくらいだ」
「そんな、だって……締切まで時間もあまりないのに」
「柚原は、俺達には出来ないと思うか?」
佐伯さんの瞳が、まっすぐ私を捉えている。
ふと拓海さんと成瀬君に視線を移すと、二人は私を見て微笑んでくれた。
「私は、三人なら……絶対にコンペに勝てるって、自信を持って言えます」
もっともっと素晴らしいデザインを仕上げて、満足げに微笑む佐伯さんの顔が……目に浮かぶから。
「それでいい」
そう言って佐伯さんは、私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「でも、河地さんのことは?」
「放っておけ。確かな証拠があるわけでもないし、人のアイデアで良い物を作ろうとしても限界があるということを、あいつに教えてやるいい機会だ」
さっきまでは不安で心臓がバクバクと震えていたはずなのに、佐伯さんのその言葉を聞いた瞬間、私の胸が期待に満ちていくのを感じていた。
アイデアを盗まれたというのにそんな風に言える佐伯さんは、上司としても社長としても男としても、とても素敵な人だ。
この人の元で働けて、本当に幸せだと……心から思えた。