クールな御曹司と溺愛マリアージュ


  *


さらに一週間が経過した今日、慌ただしく仕事を終わらせた私は、洗面所の鏡に向かっていた。


「柚原、まだか?」

「今行きます!」


化粧直しをして洗面所を出ると、三人は既にドアの前で待っていた。

「今さら何分鏡を見つめたって、変わらないだろ」

「もう!そういうこと言わないで下さい!」



全員で会社を出て向かった先は、パーティーが開かれるホテル。

頬を刺すように冷たい風が吹きつける中、佐伯さんの横を歩く私。


「私、パーティーなんて初めてです。ていうか、本当にこの服でいいんですか?」

髪型は一応パーティー用にまとめたけれど、服装はいつも通り。

「それでいい」


佐伯さんの言葉を信じるしかないけど、パーティーって言ったらもっと華やかにした方がいいんじゃないかな。



不安になりながらもホテルに到着すると、早速会場へと案内された。

というか、みんな凄い綺麗な服装だし!やっぱりこれじゃー中には入れないよ。


コートを羽織ったまま会場の入口で立ち止まると、そんな私の背中を佐伯さんが軽く叩いた。


「ほら、柚原」


隣にいる佐伯さんの視線は、うしろを見ていた。


つられて私もうしろを振り返ると、そこに立っていたのは……。



「有希乃ちゃん!?」


私の視線の先にいる有希乃ちゃんは、こっちを見て笑顔で大きく手を振っている。


「俺達は先に入ってるからな」

そう言って会場の中へ入っていった佐伯さん。




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