クールな御曹司と溺愛マリアージュ
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さらに一週間が経過した今日、慌ただしく仕事を終わらせた私は、洗面所の鏡に向かっていた。
「柚原、まだか?」
「今行きます!」
化粧直しをして洗面所を出ると、三人は既にドアの前で待っていた。
「今さら何分鏡を見つめたって、変わらないだろ」
「もう!そういうこと言わないで下さい!」
全員で会社を出て向かった先は、パーティーが開かれるホテル。
頬を刺すように冷たい風が吹きつける中、佐伯さんの横を歩く私。
「私、パーティーなんて初めてです。ていうか、本当にこの服でいいんですか?」
髪型は一応パーティー用にまとめたけれど、服装はいつも通り。
「それでいい」
佐伯さんの言葉を信じるしかないけど、パーティーって言ったらもっと華やかにした方がいいんじゃないかな。
不安になりながらもホテルに到着すると、早速会場へと案内された。
というか、みんな凄い綺麗な服装だし!やっぱりこれじゃー中には入れないよ。
コートを羽織ったまま会場の入口で立ち止まると、そんな私の背中を佐伯さんが軽く叩いた。
「ほら、柚原」
隣にいる佐伯さんの視線は、うしろを見ていた。
つられて私もうしろを振り返ると、そこに立っていたのは……。
「有希乃ちゃん!?」
私の視線の先にいる有希乃ちゃんは、こっちを見て笑顔で大きく手を振っている。
「俺達は先に入ってるからな」
そう言って会場の中へ入っていった佐伯さん。