クールな御曹司と溺愛マリアージュ
*
遠くの方で聞こえる微かな音に、ゆっくりと体を動かした。
「……っ……ん」
体も頭もなんだか重い。
必死に閉じようする瞼をなんとか少しずつ開けると、薄っすらと差し込む明かりに再び目をキュッと瞑る。
ていうか……こんなに柔らかかったっけ。すごく気持ちいいんだけど……。
有り得ないほどのフワフワとした感触に、包まっていた布団を更に持ち上げた。
高級ホテルのベッドって、こんな感じなのかな。
もう一度瞼を少しだけ開けると、私を包み込む真白な布団が目に入ってきた。
真白な……真白……し、白!?
ガバッと勢いよく体を起こし、さっきまで気持ちいいと思っていた布団を凝視する。
「なに?な、なんで……」
私の布団カバーは、薄いグリーンのはず。それに、こんなに柔らかくない。
目を大きく開き口を開けたまま恐る恐る辺りを見渡した途端、転げ落ちるようにしてベッドから飛び降りた。
「ここ……どこ!?まって、落ち着け私。昨日は四人で飲みに行って、それから……」
何かを思い出したかのように、自分の体に視線を向けた。
サラッとした手触りの大きなTシャツを着ている自分に驚き、キョロキョロと視線を動かしながらうろたえた。
そうだ!下着は……大丈夫、ちゃんとつけてる。って、全然大丈夫じゃない!
どうしよう……全然記憶ないよ。
河地さんの話しになった後、勢いがついた私はワインを沢山飲んで……。
あーもう!だから調子に乗ったら駄目だって自分に言い聞かせたのに!
とりあえず、この状況を把握しよう。
部屋の中をゆっくりと歩いてみても、誰かがいる気配は全くなかった。
「ていうか……この部屋、凄い……」
トクンと心臓の音が小さく鳴る。