届かないこの想いを、胸に秘めて。




登校中はとても賑やかだった。


香奈恵ちゃんと和海ちゃんと一緒だったから。



久しぶりの2人との登校に私の気分も明るくなって自然と笑みがこぼれた。


このふたりと友達になれて心から思う。こんな素敵な親友に巡り会えて私は幸せだよ。



「ありがとう」

「え、なに急に」


口からこぼれた思いに、香奈恵ちゃんはギョッとしたような目を向ける。


その隣の和海ちゃんは微笑んでいた。


和海ちゃんには伝わったのかな?
さすが、小学校からの親友だ。




一方、香奈恵ちゃんは……。



「くっそ、雪菜が可愛すぎるっ」

と口元をおおって目を潤ませていた。



いや、香奈恵ちゃん。そんな反応されても困るんだけどな。
それに目を潤ませなくていいからっ。


まあ、香奈恵ちゃんにも伝わったとみて私は2人の腕に巻きついた。



すると、2人がふわっと笑ったのを感じて私も笑った。




そのまま3人して腕を組みながら教室まで向かう。



それを見た鴇田くんが「俺も混ぜて〜」と向かってきたので、恒例の2人の言い合いが目の前で繰り広げられた。





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