届かないこの想いを、胸に秘めて。




……はぁ。

どうしよう。いつ言ったらいいのかな……。



帰りのHR、先生が何やら話しているのを耳の端で聞き取り、机に乗っているスクバを眺める私。


中に入っている手紙を思い出しながら、ため息がこぼれる。


いまは緊張感とかそんなもの無くて、気分は軽いんだけど。


最大の壁に激突してしまっているみたい。




私、キミの連絡先知らないんだった……。


困ったな。
これじゃ伝えられないじゃん……。

あーもうっ。バカだ、私。


頭を抱えるとチャイムが鳴った。一瞬だけ固まる。それから机に突っ伏した。



あ~もうどうしようっ!

今日が終わっちゃうよっ。私はどうすればいいの!?




……ひとつだけ手はあるはずなんだ。

それは、キミのクラスまで行って伝えること。



でもそれが出来ないから、今最大に困ってるの。


あんなに昨日願ったのに、全然ダメじゃん。


もう教室は少なくなっていて、いまこの場にいるのは私と香奈恵ちゃん、和海ちゃんに、鴇田くんと番くんだけ。


和海ちゃんと香奈恵ちゃんには今朝、先に帰ってもいいよ、と伝えてある。


2人にガッツポーズを貰ったその時は『やれる!』と思っていたのになあ。



自分に呆れてまた一つ息を吐いた。






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