届かないこの想いを、胸に秘めて。




同じフロアの同じ棟の奥の教室がキミのクラス。


少し手前に足を止めて、後ろを振り返った。

そこにはもう誰もいなかった。



見上げてもう一度キミのクラスだと確認して中をのぞき込む。


慌てて引っ込ました顔に少し頬がこわばった。


ドキドキする胸に手を当てて『大丈夫大丈夫』と繰り返す。




中から聞こえるキミと女の子の声。


いま女の子が告白をしたのを耳にして胸が苦しくなった。


もしかしたら、その子がキミの好きな人なんじゃないかと思ってしまったから。




キミはどう答えるのかな?

お願いだから、私にも最後に伝えさせてっ。


伝える前に振られてしまったらもう私はどうしようもなくなる。
泣くどころか、抜け殻になってしまうと思う。



お願いっ、私にチャンスをっ。



そう願ったとき、キミの口から「ごめんね」と発された。


ホッとしたのも束の間で、「俺、好きな人がいるんだ」の声に悲しくなった。




紗姫ちゃんの言った通りだね。本当に好きな人がいるんだ。


喉が痛くなって込み上げてくるものを強制的に呑み込んだ。







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