不機嫌なキスしか知らない


なに……?誰かいるのかな?


声が聞こえてきたのは、使われていない資料室だ。

ここって、鍵開いてたんだ。誰も入ってるのを見たことがないから、入れないのかと想ってた。


……だめだって、直感が言ってた。


だけどどうしても勝手に体が動いてしまって、そっと、ドアについた小さな窓を覗く。




「っ、」




中にいたのは、藍沢紘。

そしてその膝の上に座るのは、綺麗な女の人。くるくると巻いた茶色い髪、短いスカート、真っ赤なリップ。


確か、3年生の島本 麗奈(しまもと れいな)先輩。


美人で、男の子に人気で、そしてちょっと男癖が悪いって噂。まあ、噂ばかりでいろんな偏見を持つことはよくない。


そうは思っていたけど、島本先輩と藍沢くんの噂はどちらも本当みたいだ。

はだけた先輩の制服と、顕になった白い胸元を見てそう悟る。



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