不機嫌なキスしか知らない





「──なに、慰めてくれんの?」




紘は、少しだけどこかを見てから、私に視線を落とした。

意地悪に口角を上げて、いつも通りの、不機嫌な、怒ってるみたいな目で私を見つめる。





「……いいよ」






私が小さくうなずいたら、紘の手のひらが私の頬をそっと包む。

冷たい目とは反対に、温かい手のひらに、なぜか私のほうが泣きそうになってしまった。




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