世界はきみに恋をしている。
「たーだいまっ!」
わざと上機嫌に、美術室の扉を開ける。なんだかやたら静かだなあ、って廊下を歩いているときに思ってけど、それもそのはずだ。
だって、そこには、カナもノガミくんもいなかったんだから。
カナはすぐに帰る癖があるからしょうがないけど、ノガミくんは待っていてくれたってよかったのに。
ちょっと膨れながら自分の荷物を持って、美術室を出る。
もう冬も近いせいか、外は暗くて、指先にあたる風はとても冷たい。
運動部が練習を終える挨拶をしているのが聞こえる。
薄暗い廊下をひとりで歩く。
最近は、いつもノガミくんが一緒に帰ってくれていたから、何だか変な感じだ。
………ノガミくん、どうして帰っちゃったんだろう。
いつも、なんだかんだ言って優しくて、だるい、なんて言いながら部活に毎日来てくれて。そして、最後まで残る私と一緒におしゃべりを続けてくれて。
ノガミくんって、不思議な人だ。
あんなに派手な外見からは想像できないくらい、かわいくて、やさしいひと。