溺愛ENMA様
当然のごとく、部屋から出てきた閻魔と数十センチの距離で見つめ合うことになり、私は湯上がりに加え、バスタオル一枚の自分を激しく後悔した。

「へえ……湯上がりか。イイ匂いだな」

閻魔は、自分の顎の辺りを撫でながら私を見下ろしてフウッと笑った。

「ガチャガチャ煩いだけの女かと思えば……意外と色っぽいな」

「バカッ!死ねっ!」

私は渾身の力で閻魔をドカッと押してドアから遠ざけると、素早くそれを開けて中に入った。

ドクンドクンと、鼓動が耳元でうるさい。

私の部屋に鍵はない。

早く服着なくちゃ!

「なー、そんなに怒んなよ。別に裸を見たわけじゃねーんだし」
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