私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「椿ちゃーん、サーブしてだって!」

「あ、はいはーい」


いけない、試合中だった。

クラスメートの一言に我に返って、私はサーブを打つために下がる。その時、なんとなく顔を上げると、一護と目が合った。


……え……?

てっきり、紗枝ばかり目で追ってると思ったのに……。どうして、私の事なんて見てるの?


咄嗟のことで、慌てて目を反らす。


なんで、なんで、なんでっ?

心の中でパニックを起こす。

サーブをするっていうのに、ドキドキと心臓が騒いで、私はこの後、サーブを失敗してしまった。





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