私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「………何だよ、俺の前では全然笑わねーくせに」

「一護くん、何か言った??」

「いや、別に……」


私たちの前で、一護と紗枝が近い距離で何かを話しているのが見える。

話の内容は聞こえないけど、何話してるんだろう。
嫌だな、こういうの……。

視線を反らして東野くんを見ると、東野くんは「素直じゃねーの」と苦笑いを浮かべている。

「東野くん?」

「あっ、ごめんボーッとして。あのさ、一護あんなんだけど、本当は宮野の事気にしてるんだよ」


「え……?」


一護が、私のことを気にしてる??
いつも、鬱陶しそうにしてるのに、何で??


「ごめん、一護から聞いたんだけどさ、前に屋上で泣いてたって聞いた」

「あ……」

それは、一護から昔の私みたいに戻って欲しいみたいに言われた時のことだ。

我慢できずに一護の前で泣いちゃったんだっけ、私。


戻れるはずなんて、ないのに……。

この想いすら持つなって、言われたみたいで辛くって…。
泣くことを我慢出来ず、止められなかった。



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