私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「あの、ちょっと!」

「バイト終わったら、俺等に付き合ってくんない?それなら、ここは穏便にすませてあげっからさ」


強い力……手首も痛いっ。

振り払おうとして、思いのほか手首を強く握られていることに気づく。


「や、やめ……」

「おいお客様、コイツになんか用っすか?」


泣きそうになっていると、不意に聞きなれた声がした。
それが誰なのかに気づいて、ジワリの涙が滲む。


そこには…私の手首を掴んでいた男の手を掴んでいる、一護がいた。


「いち……」

「何だよお前、野郎はお呼びじゃねーよ」


一護の名前を呼ぼうとして、男に遮られる。

それでも、私が名前を呼んだことに気づいたのか、一護は私をチラッと見た。

「お前……っ、マジ許さねぇ…」

そして、驚いたような顔をしたと思ったら、キッと男達を睨みつける。



< 62 / 211 >

この作品をシェア

pagetop