私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「ほっとけねーんだよ……忘れようとしても、お前の泣き顔が頭に浮かんで、気づいたら目で追ってる!!」
「え……」
それって、どうして……?
鬱陶しかったから、ムカつくから気になるのかな。
「もう、わけ分かんねーし……」
一護も、何かに戸惑っているみたいだった。
そんな一護になんて声をかけたらいいのか分からなくて、喉に何かがつっかえたように言葉が出ない。
でも、何か言わなきゃ……。
そう思って出た言葉は、「………戻らないと」だった。
一護に背を向け、逃げるように踵を返す。
「椿!!」
「っ……なに」
また手首をつかまれて、引き止められた。
私は、泣きそうだったから、顔を見せたくなくて、振り向かずに聞き返す。
「何で、前みたいに笑ってくれねーの?何で、俺の前でだけ……」
まるで、一護の方が泣いてしまいそうな声だった。
それに、胸がまた締めつけられる。