私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「………………っ」
………言わないと。
いつもみたいに、心底嫌そうな顔をして。
でも、顔までは作れなそうだから、俯いたまま、せめて言葉で…。
「嫌いだから、一護のことが」
助けてくれて、ありがとう。
また、一護を好きになってしまう。
優しくされる度、そうでなくても目が合う度に、私は…。
ーーーキミに、恋してしまう。
「っ………クソッ、何でだよ!!」
「………離して、バイト中でしょ」
その手を振り払い、ホールへと戻る。
振り返るなんて、出来なかった。
だってきっと……すごく……傷ついた顔を、してると思うから。