ずっと一緒に・・・
「やっと笑えたな、お前」
健一はお腹を抱えて笑う友美を見ながら言った。友美は笑いながら健一を見て小さく「うん」っと言った。そしてひとしきり笑い終えると、二人は家に向かって歩きだした。

帰る途中、友美はふと思い出して健一に言った。
「そういえばさ、真紀が健一のこと好きだって言ってたよ」
「ふーん」
「あれ?驚かないの?」
「俺だってそこまで単純じゃねぇよ。見てりゃわかる」
「そうなんだ」
友美は健一の言葉を聞きながら少し残念そうにしている自分がいることに気が付いた。真紀の気持ちに気づいていたなら、もしかしたら、健一も真紀のこと気になっているのかもしれない。そう思うと少し胸の奥が苦しくなった。
「もし告白されたらさ、付き合う?」
聞いておきながら、やっぱり聞かなければよかったと友美は思った。もし付き合うと健一が言ったら、一体何と言えばよいのだろうか。しかし、健一からはその一言は出てこなかった。
「付き合わねぇよ」
「そうなんだ。なんで?」
「だって俺、まだお前から返事もらってねぇもん」
「へ、返事?私から?」
健一の突然の言葉に友美はまたも動揺する。
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