今日も明日もそばにいて
これじゃあ…まるで私が。

「ちょっと神坂君、ずるくない?わ、私のは、まだ、ドキドキしてとか、そんな感じで、それが…」

まだ解らないようでもあるんだから。

「はいはい。ねえ、実季さん。最近、溜め息、出てないんじゃないですか?」

ん?

「え?溜め息?確かに…、言われてみたら出てないかも」

頷かれた。

「ちょっと毎日、充実してるからじゃ無いですか?仕事以外に、休みの日の事考えたり、…俺の事を考えたり?」

「ん〜、神坂君の事は考えてたかも。あ」

あ゙。慌てて口を押さえた…。もう…何言ってるの。…確かにそうなってたけど…。

「でもね、それは謎が多いからで…あのね、私に言わせてばっかりって…」

どうしてこんな風に。そもそも…。

「自覚、してもらいたかったんです、ちゃんと。…気持ちを。
実季さん…恋は何年お休みしてましたか?」

…自覚。いきなり好きですなんて告白されてたら……きっと私は駄目だって、そう言ってしまいそうだからってこと?…。それはそうかもだけど……。

「あ、それは…、言わないと駄目?」

「いいえ?」

「あ、もう…意地悪。だったら聞かなくていいじゃない。……考えたじゃない。さっきからなんか…」

「…すみません。俺、知らなくていいです。どのくらい前の事でもヤキモチを妬いてしまいそうだから」

「そういう神坂君はどうなの?…あー、駄目駄目、やっぱり駄目、言わなくていい。聞きたく無い。絶対、言わないで」

あ…。それって……どうなの…。はぁ、やぶ蛇?

「…実季さん。俺、今夜泊まります」

…。

「…はい」

「いいんですね?」

頷いた。
はいって…言っちゃった。でも、…駄目は、…駄目よね?この場合やっぱり、はい、よね?好きって確認しちゃったから…。

「それから…」

「……あ、はい?」

…何?ドキドキするから…溜めを作らないで、言って…早く、何?

「残りのペナルティー、二つ共、行使しますって事です。有無は言わせません」

…覚えてるんだ。…今度は何の要求。

「一体何を…」

「いいですね?」

「あ…は、い。でも、何を…」

先に教えてくれないかな…。

「では、これはペナルティーに関係無く…」

あ、いきなり唇が重なった。…ずっと腕に囲い込まれて話してたなんて…神坂君…。

「ん…、実季。俺はズッと、自分の中では実季って呼んでました、勝手に、許可なく。生意気ですか?」

「ちょっとずるい…」

「…え?」

そんなのドキドキするじゃない。ずっとドキドキが止まらないのに。勝手になんて…知らない…。

「…今、実季って言うのは…ずるいと思…」

あっ。遮られた。んん…唇がまた…言葉を塞いだ。ん、喋っちゃ駄目、な、の?ゆっくり唇が離れた。

「…あの…ねえ、神坂君」

「…ん?」

「今日、昼寝、し過ぎじゃない?今夜、眠れないかもよ?」

「フッ…それはちゃんと疲れを取ったかって確認ですか?…いいんです。…その為に寝ていたような部分もあったんです…、俺」

「え?何?」

眠れなくなる為に…?

「ペナルティーの内の一つの事の為にです…」

あ。んん、ん、…ん。この、甘くて蕩けそうな口づけは…、ペナルティーとはまた別?
息が…止まりそう。ううん、止まってる…胸が苦しい。実際、呼吸がどうとかではない…。心臓がこんなに強く鼓動した事はないかも…。これが大人のキスなのよね…。

「ん…、実季…キス、好き?」

ぁ、…、…しりとりみたい…。

「俺は実季が好き…だから、もう…我慢なんて無理だ…一杯したくて堪らないです…実季…」
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