今日も明日もそばにいて
「……実季さん」

「あ、待って…」

「もう…待たない…待てません」

「でも待って待って。お願い、待って?」

…じりじりとにじり寄る身体を止めた。

「…あのね、…勿体ぶってとか…、駄目とかじゃないの…私ね、さっき、話を濁したわ。何年、恋してないか。
あのね…もう、随分、恋してないの。だから。あのね…だから…」

「解った。解りました…ん〜と、…初めて、では、無い、よ、ね?」

「あ…う、ん。でもね…」

…それに近いかもなの。…ほぼそれよ?引くでしょ?引くよね、この歳でそんな…。

「ん、解った。俺に任せなさい、実季」

…。何よ、…偉そうじゃない?…経験、豊富なんだ……いいの?今更、面倒じゃないの?いい年齢の女が…扱い辛くならない?

「フッ。そんな…、反抗的な顔をしていたら優しくしませんよ?」

あ、それは困る…。それはそれで…。

「…駄目。…優しく…して。じゃないと…」

あ、実季…。拗ねた顔が…可愛い…。

「はぁ、実季…大丈夫です。優しくじゃ無いと出来ないから…」

ぁ、…。顔を両手で包み見つめると腕を回して抱きしめられた。ベッドに行きましょうか、交差した顔の横でそう言われたからコクンと頷いた。
直ぐ様抱き上げられた。

「…あ、お姫様抱っこ…」

「はい。“王子様”なんで」

「…もう…」

気恥ずかしい。
運ばれ、優しく寝かされた。


…はぁ。この前も思った。人は温かい…。当たり前だけど、肌が触れ合う事で心がこんなにも変わる。…充たされるって…何もかも温かい…。

「ん…、柊一…君…」

…私…大丈夫…かな。このまま…寝てしまうってのは駄目かな…。ここまで来て、そうはいかないわよね…。

優しく時間をかけて身体は解された…。

「……実季?…大丈夫?…」

「はぁ…は、い…」

う…神坂君に、こんな…はいって言っちゃった。これって…もう、無意識に神坂君の方が強い立場なのかな…。立場というか、任せなさいなんて言うから、委ねちゃったし…。

実季さん…。返事が…可愛い。
公園に行く前、部屋で、ばっちり、って言った時の顔も、不意をつかれて…子供みたいな顔をしていた、…可愛いかった…。

「…可愛いです。凄く、実季さん、…可愛い…堪らないです…」

…だから、また…、さんって言ってるよ?神坂君。

「ん…。はぁ…ずっとこんな風に、こうしてたいです。実季さんのこんな顔…ずっと見ていたい…させたい…」

そうはいかないでしょ?…ずっとなんて…物理的に。どんな顔してるのかしら…恥ずかしいこと、言わないで…ぁ、………ぁ…。

「…大丈夫?」

「…う、ん、…大丈夫だと思う…ぁ…。ん、ぁ、柊一く…」

はぁぁ…。しがみついて来るこの感じも可愛い…もう…堪らない。俺…既に溺愛かも…。年上だなんて感じない。可愛い…実季…。

「ぁ。…柊一…く、んぁ…待っ……て」

こんな時だからか?俺を呼び捨てにする。違う…最後まで声にならないのか…。
…ゔー。どっちでもいい。…可愛過ぎるー。はぁ…。間違いなく、俺は実季さんに溺れてしまう…。
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