今日も明日もそばにいて

「素敵な人は沢山居るって事…です」

「だったら、お望み通りそうしましょうか?」

「え」

「嘘ですよ、そんなこと。確かに一般的に素敵な人は沢山居るでしょう。でもその人達は俺の好きである対象では無い。俺より年上だからと、気にする気持ちも解ります。だけど出会ったタイミングの年齢が、お互いに3歳違いだったって事じゃないですか。それは変えられない。どうにも出来ない事だ。
…駄目だ。興奮したら、上手く話せなくなりそうです…。結果的に、実季さんが年上だったから上手くいきませんでした、なんて理由にされたく無いって事ですか?駄目になる理由に年齢を出されるかもって不安からですか?すみません、年齢年齢って、言い方がキツイですかね…」

「ううん、その通りなの。たった3歳かも知れない。でも3歳も、なの。歳はとってるって事でしょ?…3歳先に老いていくのよ…。
出来る事なら、神坂君より一つでも年下で居たかった。ううん、同い年でもいい。…そう思ってしまうの。…3歳でも不安なの。…それだけなの。…ごめんなさい」

それに、今現在が若くないの…。

「俺が…20代の若僧なら、もしかしたら、数年付き合って駄目になっていたかも知れないです。
これはあくまで仮定の話です。してもないことだから誰にも解らない事です。
年下だと言っても、俺も30を越えているんです。そんなに落ち着いて無い事も無いんです。
まだまだ、人間的には青いですが。年齢を誤魔化されて、騙されてつき合い始める訳じゃない。何もまだ、知らない事だらけだけど、年齢を嘘つかれた訳じゃない。入社した時から知っている人です。仕事上の人柄は知っているつもりです。最初から年上だって事も知ってる。その上での事です」

「あのね…」

口を挟みかけた。

「待ってください。そんな人柄は、作っているかも知れないって、言いたいのでしょ?仕事上の人格、とでもいうのでしょうか。外面がいい?
長年、作っていられるなら、それはもう立派な性格の一部ですよ。そんな努力するところもあるんだとも評価出来るでしょ?
貴女は責任感のある人です。俺は年齢を理由に嫌いになんてならない。あー…どう言ったら、不安は消えますか?」
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