今日も明日もそばにいて
「仕事は?今の仕事、例えば辞めたとしても、他の仕事を改めてしてもいいの?」
「いいでしょ?出来る環境ならしたらいいと思いますよ?駄目だと言う理由が無い。
家に篭らず、人と接する事はいい事だと思います。仕事を少しでもしていた人は尚更だと思いますよ?仕事をしながら家事も出来ていた訳ですから。
ずっと家に居るだけっていうのは、返ってしんどいかも知れない。生活にめり張りが無いというか、張り合いが無くなると言うか」
「うん、参考になった。ねえ、兄弟は居るの?」
「うちは男三兄弟なんだ。俺は真ん中」
「上の人と歳が離れてる?」
「え、ああ。なんで?」
「神坂君、しっかりしてるから」
「実季さんは?」
「私も真ん中。上と下が男で、挟まれてるの」
「だから、さっぱりした性格なんだ」
「男らしい?」
「うん、男前な気質だと思う」
…女らしく無いって事かな。
「あー、勘違いしないでください?充分女らしいですよ?凄く可愛らしいじゃないですか。ご心配無く。その証拠に、俺、惚れてますから。溺愛してます。
…子供、仕事、割と重めな話をしましたが、他に、差し支えそうな事は無いですか?」
「…うん、無いかな。今はパッと浮かばない」
…嘘だ。あるとするならば、結婚に進んだ場合の事がまだ何も聞けて無い。そこに至るかは、まだ解らないから…。
「あ、神坂君、私達は、交際、始まっているの?」
「…な……はぁぁ……身体だけの関係が良いのですか?」
「違う違う」
そんなのは…駄目、無理。
「ハハハ。ふぅ……もう、始まってるって事でいいんじゃないですか?んー、昨日から?
好きって言われたのは昨日でしたから」
「…うん」
少し身体を寄せた。腕を回して抱き寄せてくれた。交際、してますよ、と念押しされた。
不安に…させちゃったかな。神坂君はこう言っていても、例えば、いざ結婚したいってなったら…、年上で、しかも子供が産めるかどうか解らない相手を、親御さんは快諾してくれるものだろうか。何故わざわざ…年上の、もう三十半ば過ぎた女と…。
きっと、年下の…若い女性にしなさいって言うよね。
…もし、子供が欲しいって気になったら…その時は…。