今日も明日もそばにいて

「無いとは思うけど…、もし公にして、お前と終わるような事があったら、お前の立場が不利になると思ったんじゃないのか?言い方は悪いが例えだぞ?無責任に、つき合うだけつき合って、挙げ句、年上女を捨てた、とかさ?言われるだろ、普通。噂ってそんなもんだ。そんな風にしか話題にしない」

「俺はそんな事はしない。そんな軽い気持ちじゃない」

「解ってるよ。俺には解るよ?どれだけの思いで言ったのか。でも、人の噂、特に、女性の噂話は無責任だからな、残酷で恐いよ…。所詮他人事。無いことばかりくっつけては噂になる。する。噂話ってのはいい内容じゃないって相場は決まってる…傷つく。お前は将来有望なエースだからな。だから、もしもに備えてだ。公にしない事にして、お前の将来に傷がつかないように、配慮したんだと思うぜ?ま、本人じゃないから真意は解らないけどな。
それにさ、お前の事を好きで諦められない女子とか、別れさせようと嘘の酷い噂を流すかも知れない。無いとは言えない。恐ろしいね~」

そんなモノで…揺らぐつもりは無い。護ってみせる。

「結婚しようって言って、婚約したらいいのか…」

「結婚、するつもりなんだろ?」

「だから、まだ確実な結婚っていう言葉で話はしていない。…向こうにも考えが、考えたいことがあるだろ…。まだ気持ちだって、こっちから一方的みたいなところもあるし。受け入れてはもらったけど…好きって気持ちはまだまだ弱いというか、これからだろ?
……結婚しても困らないような話はした」

「ん?なんじゃそれ?」

「子供の話とか、仕事の話とか」

「は?そんな…将来的な話をしておいて、結婚のけの字も出さなかったのか?それは…、夢の話か。ある意味他人事みたいな複雑な心境だな、杜咲さん。それで、よく、お前が公にしようとした事、冷静に判断してくれたもんだな。…そうか、…まだ自分の意思もはっきりと解らないからか…だよな。だから余計不安で…。しかし、どうなんだろうな、結婚自体、相手が誰であろうと、元々する気はあるのかな。誰かとつき合ってそれが酷い別れだったとか…誰ともつき合ってなかったのか、それには何か理由があるのかもしれないけど、今まで独身だった訳だしさ?」

…。

「おい、大丈夫か?」

「…志野田、お前、色々と凄いな」

「別に凄く無いさ。…どうせ、お前。どっかで舞い上がってたとこがあったんだよ。……上手くいってそのまま…シたんだろ?…我慢できなくてその日に」

…。

「あ゙ー!マジか…。…お前。…はぁ…もう?シたの?本当に?…はぁぁ。…だから冷静さに欠けたんだよ。…全く舞い上がって。夢中になりやがって…。…マジか?…マジだよな。はぁ…、お前と?…はぁ」

「…煩い、何度も聞くな」

悪いかよ。こっちは長年の思いが叶ったんだ。

「だってだな……あの杜咲さんとだ。まあ、俺も男だし解らんでもないさ。俺が必要無い事を祈るよ。辛い目には遭わせたく無いよな」

「…ああ」

「んでさ…どうなのよ、ん?フフ」

「あ?…は?何がだよ…だから聞くな。馬鹿か、そんな事、教えるか」

そうだよ。仕事が正確で、誰にでもフランクで、だけど綺麗で、高嶺の花と陰で噂されてる人と俺はシたんだよ。その高嶺の花の女性が、凄く可愛らしい人だと俺は知ったんだ。そして俺は…お前の想像通りどっぷり溺れてるよ。堪らないんだよ。

「護らなきゃな、…俺らとしては」

「あ、あぁ、無いとは思うけど、もしもの時は頼むな」

「いや、無いとは思わない方がいいな。まあ任せておけ。あー、俺の出番があって欲しいけど、無い方がいいって、はぁ、何だかな〜。俺複雑。秘密主義のお前だけど…お前が杜咲さんとね……まあ、薄々はそうじゃないかって思ってたけどな。よし、食うか。あ、ここお前の奢りな?」

「解ってるよ」
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