今日も明日もそばにいて
変に慌てない方がいい。普段通りに話せばいい。…ふぅ。
ピンポン。
「お帰りなさい、お疲れ様でした」
あ、…、お帰りなさいか、…いいもんだな。
「…ただいま」
部屋に上がった。
「ご飯、食べる?食べてから帰るでしょ?」
「実季さん、メール、有難う」
「…あ、うん」
「その事で、ちょっと説明させて欲しい、あいつの事。いい?」
「ううん。…いい。昔の彼女の話だったら聞きたくないの。どんな説明も要らない。
今更どうにも出来ない事で、聞いた言葉にヤキモチは妬きたく無いから。とにかく…誰でも、彼女の話は知りたくないの」
「はぁ…ほら、もう誤解してる。もしかして海和が言ったかも知れないけど彼女じゃ無いんだ。説明って言っても、妬くほどの話じゃ無いんだ」
…。
「こっちを向いてくれないか?」
…。
「じゃあそのままでいいから、とにかく聞いて欲しい。あいつは、ただの大学の後輩なんだ。
もしかしたら、あいつが何か可笑しな事、色々言ったかも知れないけど、元々、彼女って訳じゃなかったんだ。…都合のいい妄想なんだ。あいつが…一方的にしつこくて。面倒臭いから放っておいたら、勝手に彼女だって言い始めて…。どこにでも勝手について来るようになるし…。
俺も志野田も参ってたんだけど、好きなようにさせてたんだ。それもよく無かったけど。だからいつまでも、何もかも自分の思い通りになると勘違いしたままなんだ。面倒臭がらずにちゃんと迷惑だって伝えていたら良かったんだけど、端から理解しようとするタイプでは無かったんだ」
「私…彼女は何も、詳しい事は言わなかった。ただ、神坂柊一という人が居るかって事を尋ねられただけ。彼女…、貴方の事好きなのに、可哀相だったのね。ちゃんと始まっても無くて、ちゃんと振って終わらせてもくれて無くて…。だから、貴方に会ったから…、変わらず会いに来るはずよね。…連絡先は知らないの?」
「…知らないんだ」
「そうなんだ、じゃあきっとまた来るわね。貴方に会えるまで」
「あっちがどう思ってようと俺は何とも思ってないから。信じて欲しい」
…貴方の事がきっと、まだ好きなのよ。