今日も明日もそばにいて
②静かに浸透するモノは

はぁ、…暑〜い!
やっと帰り着いた。
ガンガン歩いて帰ったから…それほど新しい靴でもないのに踵が痛い。
あぁ、やっぱり靴擦れが出来てる、水膨れが出来て潰れて血が…。きっと、これはお風呂で痛い。

……はぁ、とんだ失態を。なんて事…。なんで寝ちゃったかな…。本当にもう。
一体…、何…。あの神坂柊一の部屋に泊まってしまった…。どうなの…こんな事してたら、何だか、女神がドンドン離れて行ってるみたいじゃない?
…はぁ…誰にも見られて無かったわよね、神坂君の部屋から出るところ…。朝帰りなんて…。
…年上の女がたぶらかして、…たらしこんだとか、思われてしまうじゃない?
ん?神坂君の部屋だから、逆になるのかな…。はぁぁどっちでも同じ?
はぁもう…。とんだハプニングよ…。………ん?

もう…どうして眠ってしまったんだろう…。お酒、確か大して多くは飲んでなかったはずなのに。んー、何も覚えて無いから、店を出てタクシーに乗ったら、すぐ寝てしまったのね。…はぁ。熟睡出来る丁度いい酔いだったのかな…。情けない。
それに、これ…クンクン。この匂い。…はぁ。こんな複雑な匂い…、はぁ。
飲み屋さんの充満した煙草の煙…、油っぽい料理の匂い、アルコールの匂い…。店に居る分には気にしないけど…。はぁ…最悪…。
こんな時は、相手のオードトワレの香りだけ残っていたらいいのに…。
…抱きしめられていた時は確かに神坂君はいつもの香りがしていたのに。私は丁度神坂君の顔の下あたりで煙草臭い髪の匂いをさせていたに違いない。
きっと、息…寝息だってアルコールの匂いを漂わせていた…、う、台なしじゃない…残念な女だ。…最低。はぁ…もう、…嫌。本当、嫌。一、女として、恥ずかしい、…情けない。…はぁ。…。本当、情けない…。
クンクン。はぁ…シャワーしよう…。

寝られるかな。もう、無理かも。
昨夜は迷惑掛けただけだったようだし…。
多分、私が溜め息ついてたから、理由は解らなくても、元気付けようと誘ってくれたのよね…。
ん゙ー、それにしても…情けない。はぁ…恥ずかしい…。


【本当に、情けなくて、だらし無くてごめんなさい。迷惑掛けてごめんなさい。杜咲】

…一度に送れっつうのよね。メールっていっても、寝てたらまた起こしたかも知れないじゃない…。もう…。駄目な時は何をしても駄目。気配りも忘れてる。

痛たた…、ゔ、血もうっすら滲んでる。絆創膏貼ってからお風呂に入ろう。手で押さえてたら痛く無いかな。…離したらお湯が染みて痛いかな。
もう……うだうだ言ってないで、早くシャワーするなり寝るなりしなさいよ。はぁ、もう、ホント色々…嫌。…はぁ。
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