今日も明日もそばにいて


神坂君の部屋から、うちの部屋迄の間のどこかの建物に、会社の人は住んで居ないのだろうか。

それこそ、早朝から散歩やジョギングでもしてない限り、まだまだ起きてる時間では無かったけれど。
部屋を出たところとか、誰かに見られてたら困るな…。はぁ、何だかもう眠れない。



「おはようございます」

「あ、…おはよう。あの…ごめんね」

何事もなかったことに…。

「いいえ。あれから眠れましたか?」

あ゙。…できないよね。

「あ、ううん。お風呂に入って、そしたら眠れるかと思ったけど、駄目だった。
却ってサッパリ、スッキリし過ぎて。きっと夕方眠くなると思う。神坂君は?眠れたの?」

ホントは考え事をしていたから私は眠れなかった。

「いいえ。抱き枕がなくなってしまって眠れませんでした。丁度良かったんですよ?。大きさといい、人肌といい」

…柔かさといい。はぁ…本当だ。嘘では無い。それに……アルコールのせいじゃなく、半端なくドキドキした…。

「だ、え?あ、…ちょっと」

どうしてそんな事を…、生々しいじゃない…言わなくていいのに…。
キャー、神坂君たらもう、なんて言えもしないし。
とにかく、今回は大失態。恥ずかしいからその事にはもう触れないで。

「土曜の事は連絡しますから、時間とか」

「え、あ、それ。何故?どうしてそんな事、急に?」

…それは。

「暇ですよね?無い無いづくしって言ってたし」

「あーそれは…確かに。言ってたと思うけど…でもそれはそれ…」

そこら辺の記憶は、まあ、何となくある。

「俺も暇してますから。お互い、休日の暇つぶしになるじゃないですか。何故の理由が欲しいなら、そういう事でいいんじゃないですか?」

暇だから出掛ける。私と?…そんな理由で。…神坂君と一緒に出掛けるなんて納得できる訳では無い。だったら、別の暇してる人でいいんじゃない?
ただ、…暇は暇。それは確か。暇を持て余している。それを言うなら、日曜だって…。

…。

「んー…暇な者同士なのね?」

「はい」

…そんな、その通りみたいな顔で。あ、そうだ。

「ねえ?タクシー代は?いくらだった?」

「支払うつもりなら、俺が俺ん家に帰っただけなんで、要らないです。先輩はそれに同乗しただけですから」

「でもね…それは」

そう言われたら理屈はそうでしょうが、色々迷惑も掛けてる事もあるんだから。

「要らないです。要りませんよ。その代わりに土曜、でしょ?」

その代わりって…。これは受け取って貰えそうに無いわね。

「ふぅ…解りました」

それにしても随分、強めに言うじゃない?
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