俺の手が届く範囲にいろ。
「……実月ちゃん?」
「っ…はい…!」
不意に、航くんの声で
わたしは我に返る。
「…これ、もう読み終わったから
実月ちゃんに貸してあげる」
そう言って、航くんが手に持っているのは…
「あ!これ、最近発売された小説だよね?!
借りていいの!?」
「いいよ!返すのはいつでも良いから
読み終わったら感想聞かせて!」
そう言って、航くんは
わたしの肩をポンッと軽く叩いて
行ってしまった……__