俺の手が届く範囲にいろ。


「……んー、やっぱり私は
成川くん派なんだけどなー…」


と、前の席である菜々ちゃんは
イスに座りながらそんなことを言う。


「え?」


「…あんなに分かりやすいのに
どうしてみっちゃんは気付かないのかな…」


不意に菜々ちゃんはわたしの顔を
じーっと見つめながら
ボソボソと何かを呟いている。


「ど、どしたの菜々ちゃん…。
悩みごとなら、いつでも聞くよ」


「ふふっ…ありがとみっちゃん。
……って、そうじゃなくて!」


「……?」


「……はぁ。成川くんは大変ね……。」


「…え、京ちゃんが…?」


「……ま!わたしは
見てて飽きないから良いんだけどねー」


と、よく分からない言葉を
繰り返す菜々ちゃんを見て
わたしは思わず、首を傾げた……__


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