俺の手が届く範囲にいろ。


……はぁ…。
昼休み、あっという間だったな。


と、少し名残惜しく思うわたし。


そして、ちょうどA組教室の前を
通った……そのとき。


「…あ。」


……不意に、教室の中にいた京ちゃんと
一瞬だけ目が合った。


「…実月ちゃん?どうかした?」


わたしが急に声を出したから
航くんは不思議そうな顔をして
そんなことを尋ねた。


「あ、ううん!なんでもない!」


そう言って、
わたしは慌てて航くんに返事をする。

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