冬のようなあなた
教室から離れ、真央都くんが指さした廊下のベンチに腰かけた。
なんだかこうやって話すのはクラス替え以来久しぶりで、戸惑ってしまう。
元々口下手だからなおさら話題がなくて黙り込んでしまう。
そんな中、口を開いたのは真央里くんだった。
「最近クラスどう?」
ドキリとする投げかけだった。
去年同じクラスだった仲のいい子と離れてしまい、新しいクラスは馬の合わない子たちばかりだから浮いていた。
「うーん、微妙かなぁ」
「やっぱり?元気なさそうな顔してたもんね」
「え、顔に出てた?」
出してないつもりだったし、誰にも気づかれてなかったのに。
「うん、ばっちり」
彼が組んでいた脚を戻して少し前のめりに座り直した。
やっぱり、彼には敵わないな。
「気づいたのまおじぃくらいだよ」
「前にもこんなことあったよね」
「たしかに」
そう、前にもこういうことがあった。
以前は付き合ってた人があまりにも酷くて困っていたけれど言わないし誰も気づかないしだったのに、彼だけは“どうしたの?”って声をかけてくれたのだ。