ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「あの日のケイは別人っぽかったからな」


副社長までが思い出し笑いをする。



「そんなに別人のようだったんですか?」

「ああ、詐欺みたいに」

「大輔さん…!」


ケイが声を上げた。
笑いながら謝ってるけど、このじゃれ合いも惚気だ。



「あーあ…」


つい溜息を吐いた。
ケイと副社長はじゃれ合うのを止め、二人して私の方へ声をかけ合わせた。


「羅門どう?」
「どう思った?羅門さんのこと」


重なるように言い合うから可笑しくて。


「ごちそうさま」


食事する前から終っちゃったよ。


私としては、羅門って人の第一印象は悪くない。
耳のピアスを見たかと尋ねるケイの言葉に、(そんな細かい点も見てない)と気づいた。


料理を持ってきたらジックリ眺めてやろうと気構えた。
あの鋭い視線に見つめられても、トリハダだけは立てないようにしよう。


付け合わせのサラダを持ってきたのは同僚のコックだった。
オリジナルだというドレッシングは、酸味が少なくて美味しかった。



「この店の料理は魚介メニューが旨いんだ」


友人の店を褒める副社長。
セレブっぽくない雰囲気で、話し易い人なんだと知った。


「羅門はイタリアで修行を積んできてるからパスタも手作りだし」


パスタマシーンを使うから少し時間がかかると教えてくれる。


「ピザとかもイケるんだけど、ホントはラーメンが一番旨くてさ」


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