ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「海鮮パスタにチーズオムレツ下さい」


オススメと書かれた文字を見た。
お店のオススメ、イコール、美味しい物をイメージした。


「じゃあ私も同じで」


ケイには自分の希望ってものがないのか。


「それじゃ三人とも同じモノだな」


サラサラとメモを取ると、羅門という人はケイからメニューを預かった。


「ケイちゃん、今日もジミだね」


視線を送りながら呟く。

そう言われたケイの顔が赤くなる。
どういう意味で言ったのかわからないけど、これがいつものケイのスタイルだ。



「さっさと作ってこいよ!」


語尾を強めに発音して、シッシ…と手を振る副社長。


「はいはい」


戯けながら逃げてくコック。


「……ったく」


呆れながら向けられた視線は、ケイのところで止まった。


「ケイ」


名前を呼ばれた友人がビクッと背筋を伸ばした。


「は…はい」


真っ赤な顔をしてるケイは可愛い。
同じ女でもある私がそう思うんだから、副社長はきっともっと思ってるはずだ。


「意識すんな」


それはさっきのコックの言葉を…って意味なのか。

困ったような顔をしてるケイの視線がこっちに向いて、ハハ…と引きつった様な笑みを浮かべた。


「私が真綾の浴衣を着てたのを見てるから」


さっきの言葉の意味は、それと比較してだと思うと言われた。


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