ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
泣いて取り乱せばこの男の言う通りだと認めることになる。


確かにあの日、私は彼に追い縋ったりもしなかった。

泣きながら謝る元カノとそれを庇う彼の顔を見比べて、ただ呆れるだけだった。



『好きにしたらいいじゃない。もうやってらんない!』



庇って欲しかったのは私で、元カノじゃなかったはずだ。
許して欲しいと言いたかったのも私で、元カノじゃなかったんだ。



好きだったのに。
幸せ過ぎると信じてたのに。


自分には人から好きになってもらえる魅力がないんだ…と捻くれた。
だったら、人に負けないよう自分に博をつけようと決めた。


がむしゃらに資格を取っていこう。
自分に免許を持たせたら、誰にも負けないで済むーーー。





(カン違いもいいとこ……)


何も変わらなかった。
どんなに資格を増やしても、自分に磨きをかけても。


仕事をマイペースにやれば幅を利かせているとか冷たいことを言われて。
たった二度しか会ってない男からは、過去と現在を擦り寄らせるなと言われて。

ケイのように可愛いがってももらえず、嘘みたいな褒め言葉しか与えられない。



(私はただ、一人の人に好きになって貰いたいだけなのに……!)


その一人が誰かの彼でないことが一番だった。
でも、気になる人はやっぱり別の人の彼で……




(ごめん、ケイ……)


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