ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「いえ…」

「じゃあ」

「…はい」



プッ…と切られた後、受話器を本体に戻すのがもどかしい気分になった。
扉一枚奥にいる人が、今どんな表情をしているのかが知りたいーー。



「休憩行かなくていいのかい?」


愛妻弁当を食べていた宇田川さんが顔を窺う。


「…あ、行きます。行きます」


慌ててお財布を握りしめて秘書室を後にした。


蛍や聖とは顔も合わせづらい気持ちがして、外のうどん屋さんへと足を運んだ。


うどん屋さんには、多くのサラリーマンとウーマンが集まっていた。


その中でツルツルときつねそばを噛みしめながら、社長の好きな物は何だろうかと、あれこれ考えてばかりいたーー。




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