五月雨物語
「陽平の決心を
褒めてやってくださいね?

やっと夢に向かって
歩き出したんです。
自立しようとしています。

陽平はこっちに来てから
あの曲ばかりを
聞いていましたよ。」

あたしの心は
どうしようもなく
ぶるぶると震え始めた。

これ以上聞いているのが
苦しかった。

涙が溢れそうだった。

「ありがとうございました。
よくわかりました。」

そう言ってあたしは
新野さんに頭を下げた。

今まで止まっていた思考が
突然動き出した。

塁はあたしに何を伝えようと
してるのか・・・

あたしは足早に家へと急いだ。



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