テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

楽しい時間は過ぎていくのがとても早い。
学校の日だとあんなに長い1日が、澪君と一緒にいるとまるで数分しか経っていないように感じる。


「群馬、遠いよねぇ」


駅までの少しの距離なのに、車で送ると言って引かなかった澪君は、運転席でぽつりと呟いた。


「そうだよね。東京に住みたい」


「東京の大学に行けば、一人暮らしできるんじゃない?」


澪君はにこにこ笑いながら私を覗き込んだ。


「そのときは俺と一緒に住んでもいいけど?」


うっ。


「なっ、マスコミにバレるよ!?
だめ!澪君の仕事減っちゃうから。」


私は顔を真っ赤にしながら慌てて窓の方を向いた。


東京の景色が車窓を流れていく。
駅まではほんの数分。
それは私にとっては短すぎる時間だった。



「やだなぁ、帰したくない」



人気のない駅の駐車場に器用に車を止めると、澪君は口を尖らせてわがままを言い始めた。

名残惜しそうに私を見つめる濡れた瞳が、本当に綺麗。


「だ、だだだめだよー、お母さんにも怒られちゃうし。澪君も明日仕事でしょ?」


ドキドキが抜けきらない私はなんとか言葉を紡ぐのに必死で、つい素っ気なくなってしまう。


「むー。いいもんね!次は俺が会いにいくから……でも」
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