テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

『だから、俺の彼女は紘那だけだから。心配かけてごめん』


「んーん、もう謝らないで」


なんだかホッとした。
かちこちに凍っていた心が少しずつ溶けていくような気がした。


「今日、仕事は?」


澪君の話が終わり、一呼吸を置いたところで私は聞いた。


『ん、午後から雑誌の取材とラジオがある。そろそろ迎えが来るんだ』


「そっか、頑張ってね」


『ありがとう』


電話を切ると、私はふぅと息をついた。
結構、緊張した。
まだ指の震えが止まらない。
でもよかった。
澪君と話ができて。


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