溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


私は自分のデスクで食べることもあれば、会議室で食べることもあるけれど、今日は芽衣ちゃんに半ば強引に誘われたのだった。

「外国人っぽい顔つきでしたよね。ハーフかな」

「ファルコーの限定ネックレスをしてたわよ! あんな若いのに」
 
四角形に並べられた長机に十人ほどが座り、次々に目撃談を披露している。

「やたらと親しげだったわよね。エース様の彼女かしら?」

「えー、どう見ても年下でしたよ! 大学生くらいじゃないですか? あ、妹かもしれない!」

「瀬戸さんて妹いるのぉ?」
 
いないと思います、と心の中でつぶやいて、私はサンドイッチを頬張る。芽衣ちゃんが隣りから私の袖を引っ張った。

「ねえ西尾先輩! 瀬戸さんの彼女は同じ年って言ってましたよね!?」

「え……えーと。そうだったかなぁ、どうかなぁ」
 
顔が引きつるのを感じながら曖昧に濁すと、正面でからあげにかぶりつこうとしていた総務部の先輩社員が口をあんぐり開いた。

「なにそれ芽衣子! エース様って彼女いるの?」

「彼女っていうか、好きな人がいるって言ってましたぁ。でもその相手、年下が好きなんだって! 瀬戸さんというものがありながら!」

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