溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
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自宅マンションの玄関ドアをくぐるなり、私はどさりと荷物を置いた。
なんだか今日はやけに疲れた。重いため息をつきながら部屋の電気をつける。
八畳の部屋は、朝家を出たときのまま私を待っていた。水切りに重なった二人分の食器と部屋の隅に置かれた男物のボストンバッグ。部屋のあちこちに漂う自分以外の気配が、胸の内側をむずむずとくすぐる。
生まれてはじめて、彼氏と一緒に暮らしている。
ベッドに飛び込んで足をバタバタさせたい衝動をこらえ、私はパイル地のグレーのワンピースに着替えた。同じ素材のパーカーを羽織り、ジャケットをハンガーにかけて一息つく。
浮かれてばかりもいられない。
和風庭園を臨む応接間でやりとりされた瀬戸親子の会話を思い出す。
瀬戸くんは、本当にお母さんに認めてもらうまでここにいるつもりだろうか。
というか、私も突然で混乱していたとはいえ、手土産も持たずいきなり自宅に押しかけるなんて、だいぶ失礼なことをしてしまった気がする。
だって、付き合ってるともいえない関係だったのに、瀬戸くんがいきなり結婚なんて言い出すから……。
姿見の前で髪をほどきながら、ひとりで考え込む。彼からの申し出を受け入れた以上、私もあのお母さんに認めてもらわなければならない。
「そうはいっても、私には家柄なんてものはないしなぁ」
自宅マンションの玄関ドアをくぐるなり、私はどさりと荷物を置いた。
なんだか今日はやけに疲れた。重いため息をつきながら部屋の電気をつける。
八畳の部屋は、朝家を出たときのまま私を待っていた。水切りに重なった二人分の食器と部屋の隅に置かれた男物のボストンバッグ。部屋のあちこちに漂う自分以外の気配が、胸の内側をむずむずとくすぐる。
生まれてはじめて、彼氏と一緒に暮らしている。
ベッドに飛び込んで足をバタバタさせたい衝動をこらえ、私はパイル地のグレーのワンピースに着替えた。同じ素材のパーカーを羽織り、ジャケットをハンガーにかけて一息つく。
浮かれてばかりもいられない。
和風庭園を臨む応接間でやりとりされた瀬戸親子の会話を思い出す。
瀬戸くんは、本当にお母さんに認めてもらうまでここにいるつもりだろうか。
というか、私も突然で混乱していたとはいえ、手土産も持たずいきなり自宅に押しかけるなんて、だいぶ失礼なことをしてしまった気がする。
だって、付き合ってるともいえない関係だったのに、瀬戸くんがいきなり結婚なんて言い出すから……。
姿見の前で髪をほどきながら、ひとりで考え込む。彼からの申し出を受け入れた以上、私もあのお母さんに認めてもらわなければならない。
「そうはいっても、私には家柄なんてものはないしなぁ」