溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「実はぁ、先週からチュウちゃんと付き合ってるんです!」
「え、そうなんだ」
「驚きました?」
「うん、まあ」
担当営業くんの王子様然としたさわやかな顔を思い出した。最近仕事を頑張ってるなと思ってたら、彼女ができたからなのか。
「このあいだ瀬戸さんと四人で飲んだじゃないですか。そのときにチュウちゃんに送ってもらって、なんかちょっといい雰囲気になっちゃってぇ」
きゃはっと笑ってから、彼女はもじもじ肩を揺する。自分が二十五歳のときと比べるとずいぶん幼い印象だけど、もしかすると私が老成していただけかもしれない。芽衣ちゃんを見てると、ときどきどうしようもなく眩しさを感じる。
「そのときから意識はじめたんですけど、向こうも同じだったみたいで。それで付き合うことになったんです」
「そうなんだ。おめでとう」
「ありがとうございますー! で、先輩にお願いがあって」
「お願い?」
「社内恋愛って何かと面倒じゃないですかぁ。だから、協力してほしいんです」
「ああ、なるほど」
彼女たちも付き合いを公言するつもりはないらしい。その代わり、休みを合わせたり一緒に帰ったりするために、私の力を借りたいのだという。
確かに、秘密の恋愛なら、協力者がいるほうが何かと都合がいい。
「わかりました」
了承すると、芽衣ちゃんは破願した。
「やったぁ! 私も先輩に何か困ったこと起きたら協力しますから!」
「ありがとう」