溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
周囲の目が気にならなくなったとはいえ、社員たちの探るような目つきはなくなっていない。
さすがに会議室でみんなとお昼を食べる気になれず、私は自分の机で買ってきたお弁当を広げた。こういうとき、きついのはやっぱり同性の視線だ。
いくら仕事に集中できたって、彼女たちの輪からはじき出されてしまえば会社にはいづらくなる。
芽衣ちゃんに限らず他部署の女性陣との関係が難しくなって連携が乱れたら、仕事の能率は落ちるし、なによりやりづらい。
彼女たちの信頼を取り戻すには、どうしたらいいのか。時間が解決してくれることを待つしかないのか。
うーんと首をひねりながら割り箸を割ったときだった。
会議室のドアが勢いよく開いた。フロアに残っていた人間が、驚いたようにそちらを見る。
女子社員が集まって昼食をとっているその部屋から大股で出てきたのは、芽衣ちゃんだった。
「あーもう!」と声を上げながら、ずかずかと私のほうに近づいてくる。
「先輩、ちょっと来てください!」
腕を掴まれ、問答無用で引っ張られた。
「え、芽衣ちゃん、ちょ」
鳥そぼろ弁当を広げた私の机が、遠ざかっていく。何人かの社員と目が合った。割り箸だけを握りしめていると、芽衣ちゃんに会議室へと押しこまれた。
「私、こういう雰囲気耐えられないんです!」
ドアを開けっぱなしのまま、彼女はヒステリックに叫ぶ。